日本からも海外の様々な株式にアクセスできるようになって久しく時間が経過しています。
特に直近は米国株を中心として世界の株式が堅調に推移したこともあり外国株式に注目が集まっています。
結果として日本でも多くの外国株を投資対象とした投資信託が組成されています。
当ブログでも様々な上記のような投信を分析してきました。
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今回分析していくのはグローバル・プロスペクティブ・ファンドです。「イノベーティブ・フューチャー」という愛称で親しまれています。
様々な投信を分析した結果、魅力的なものを以下で取り上げています。
Contents
グローバル・プロスペクティブ・ファンド(愛称:イノベーティブ・フューチャー)の特徴
まずはグローバル・プロスペクティブ・ファンドの特徴についてお伝えしていきたいと思います。
投資対象は破壊的イノベーション企業
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの投資対象は破壊的イノベーションを起こしている企業です。
破壊的イノベーションとは18世紀の蒸気機関や10世紀の鉄道、20世紀のコンピューターの開発などですね。
破壊的イノベーションという言葉はグローバル・プロスペクティブ・ファンドが生み出した言葉ではありません。
グローバル・プロスペクティブ・ファンドが助言を求めているアーク社の生み出した造語です。
破壊的イノベーションの定義は以下となります。
破壊的イノベーション
- 劇的に生産性の向上をもたらす
- 急激なコスト低下をもたらす
- イノベーションプラットフォームであること
最初2の2つはわかりやすいですが3つ目のイノベーション・プラットフォームというのは、他のイノベーションとの融合やイノベーションの創出を促す共通基盤となりやすいイノベーションのことをさします。
運用プロセス
運用プロセスは以下の通りとなります。
投資対象は破壊的イノベーションを起こしうる企業だけでなく、イノベーションの恩恵を受ける企業としています。
また、上記の図で示されている通り銘柄選択においてはアーク社の助言を受けるとしています。
さきほど、破壊的インーベーションの定義の項目でも出てきましたね。ではアークとはどのような企業なのでしょうか?
アーク社とは?
アーク社は2020年からのバブル相場で急速に知名度をあげたファンドです。
アーク社といえばファンドマネージャーのキャシーウッドが有名ですね。
バリキャリウーマンの鑑みたいな顔をしてますね。
アーク社のなかで最も話題をあつめたETFがARKKです。ARKKはアーク社の旗艦ファンドとなっています。
以下はARKKの基準価額の推移は以下となります。
2020年に4倍以上に急騰した後に、現在は2018年から2019年の水準まで暴落しています。この理由については追ってお伝えします。
実際、ARKKを含めた運用ファンドの暴落によって以下のような記事もでています。
キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメント・マネジメントは今年、米国の主な上場投資信託(ETF)の中で最も急激な資産減少に見舞われている。
ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた6月1日までのデータによれば、アークのETF9本の運用資産総額は153億ドル(約2兆300億円)で、年初から48%減少。資産規模で上位25位の米ETF発行体のうち、最も大幅な減少となる。
特に目を引くのが、アークの資産減は投資家による資金引き揚げでなく、パフォーマンスの低迷が招いた点だ。アークのETFは今年、バリュエーションが高いテクノロジー株の急落が響いて9本全てで2桁のマイナスを記録。その一方で資金流出入は1億6700万ドルの純流入となっている。
参照:Bloomberg
構成上位銘柄
最新の2024年6月末時点の構成上位銘柄は以下となります。
過去からのポートフォリオ偏移は以下です。過去の栄光にすがっているかのような顔ぶれですね。
テスラでさえEV競争にさらされ厳しいのが2024年現在の実態です。直近は反発していますが、あくまで中間反騰です。
2024年6月 | 2024年1月 | 2023年11月末 | 2023年6月末 | 2023年3月末 | 2022年10月末 | |
1 | テスラ | ロク | コインベース | テスラ | テスラ | ズームビデオ |
2 | コインベース | テスラ | ロク | ロク | ロク | テスラ |
3 | ロク | コインベース | テスラ | ズームビデオ | ズームビデオ | ロク |
4 | ロブロックス | ズームビデオ | ズームビデオ | ブロック | ブロック | CRISPセラピューティクス |
5 | ブロック | ブロック | ブロック | コインベース・グローバル | コインベース・グローバル | ブロック |
6 | ロビンフッド | ロブロックス | ユーアイパス | ユーアイパス | ユーアイパス | イグザクト・サイエンシズ |
7 | パランティア | ドラフトキングス | ロブロックス | CRISPセラピューティクス | ショッピファイ | テラドック・ヘルス |
8 | ズームビデオ | トゥイリオ | ドラフトキングス | ドラフトキングス | イグザクト・サイエンシズ | ショッピファイ |
9 | ショッピファイ | ユニティ | CRISPセラピューティクス | TWILIO | ロブロックス | ユーアイパス |
10 | メタ | ユーアイパス | TWILIO | イグザクト・サイエンシズ | ドラフトキングス | インテリア・セラピューティクス |
ショッピファイ以外は米国企業です。ショッピファイはカナダ企業です。以下はARKKの構成上位銘柄です。
構成比率は若干違いますが、ほとんど同じ顔ぶれですね。
助言を受けているというより最早ARKKを模倣しているだけにすぎないというレベルです。
銘柄名 | Ticker | ファンドの割合 |
コインベース | COIN | 11.26 |
テスラ | TSLA | 9.11 |
ブロック | SQ | 7.51 |
ロク | ROKU | 6.67 |
CRISPRセラピューティクス | CRSP | 6.11 |
ユーアイパス | PATH | 5.65 |
ズームビデオ | ZM | 4.47 |
ロビンフッド | HOOD | 4.25 |
ロブロックス | RBLX | 4.24 |
ドラフトキングス | DKNG | 4.21 |
手数料 (購入手数料/信託手数料)
手数料は以下となります。
購入手数料:税込3.3%
信託手数料:年率税込1.658%
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの運用実績
では肝心の実績についてみていきましょう。
指数に負ける不甲斐ない成績となっている
グローバル・プロスペクティブ・ファンドの運用実績は以下となります。
2020年に急上昇したものの、その後、大きく暴落していますね。激しいチャートとなっています。
騰落率 | |
1ヶ月 | 5.32% |
3ヶ月 | ▲3.51% |
6ヶ月 | ▲3.60% |
1年 | 14.06% |
3年 | ▲48.75% |
2020年はこれ以上ないバブルで、あれだけの上昇があったのに設定来はマイナスとなっています・・・。
同じく米国のナスダック総合指数やS&P500指数と比較したものが以下となります。
青:グローバルプロスペクティブファンド
赤:ナスダック
緑:S&P500指数
インデックスに対してプラスのリターンをだすことが求められるアクティブファンドとしては不十分な結果といえるでしょう。
→ アクティブファンドはやめとけ!?パッシブ型の投資信託との違いをパフォーマンス面から徹底分析!
ARKKと殆ど同様のリターン
グローバルプロスペクティブファンドはアーク社の旗艦ETFであるARKKと同じリターンとなっています。
グローバルプロスペクティブは運用開始してから5年経過していないので完璧に比較できませんが以下の通り殆ど同じ動きとなっています。
橙色:グローバルプロスペクティブファンド
青色:ARKK
ほとんど同じ動きとなっていますが、若干イノベーティブフューチャーのほうがマシという状況ですね。
更に同じくアーク社の助言を受けて運用をおこなっているゼロコンタクトと比較すると以下の通りほぼ同様の運用実績となっています。
青:グローバルプロスペクティブファンド
赤:ゼロコンタクト
日興アセットマネジメントはほぼ同じ投信を名前を変えて販売しているということになります。
掲示板での口コミや評判
Yahoo financeでの口コミや評判は以下となります。
アーク社が相変わらず投機的な取引を繰り返していることに懸念を述べているコメントが見られます。
アークの助言を受けて運用しているグローバル・プロスペクティブ・ファンドに影響しますからね。
口コミ
なんか嫌な予感。
相変わらずギャンブル好き⁈
関係ないと良いですが。。
米アーク、FTX危機の中でコインベース株を買い増し
Sam Reynolds Sam Reynolds
| Industries
2022年11月9日 06:45
ウッド氏は、コインベース(Coinbase)株を買い増している。
アーク・イベストメント・マネジメントは3つのファンド、「ARK Innovation」「ARK Next Generation Internet」「ARK Fintech Innovation」でコインベースへの出資を増やしていると述べた。現在保有している770万株に、42万949株を追加するという。
口コミ
まず根拠を確かめないとなあ
今みたいにテスラが下げてるのに何で上げると言い切れるのか?
勿論他にも投資してるけど理由を1個づつ聞くことが大事と思うけど
その時に相手がどの程度知識があるかは直ぐに馬脚を現す
俺もそうだけど突っ込める知識を身に着けないといけないですよねえ
グローバルプロスペクティブをすすめてきた金融機関に対して不安を述べている口コミも見られます。
口コミ
営業さんってしつこいんだよなあ
要らないと言うと何でだ!どうしてだ!と言って食い下がってくる
下がって文句言うと自己責任ですからと言って知らんぷり
口コミ
証券マンの【徐々に戻す】、【時間がかかる】=ダメ、と私は認識しています。
独り言、すみません。
イノベーティブ・フューチャーの今後の見通し
重要なのは今後の見通しです。そもそもなぜ2020年に高いリターンを出せたのかという点について考える必要があります。
理由は明確です。パンデミックから経済を救うために中央銀行が大規模な金融緩和を実施したことに起因しています。
金利が下落することでグロース株の将来の利益の現時点での価値が上昇して株価は上昇していきます。
2010年代を通じてグロース株が高いリターンをだしたのは低下しつづける金利の影響が最も大きかったのです。
そして2020年に最も大規模な金融緩和を行ったことでARKKが投資しているような銘柄が脚光を浴びました。以下は米国の政策金利の推移です。
しかし、2021年後半からインフレが発生したことで金利を急激に引き上げて中央銀行は対処しています。
結果として今までの逆回転あおこりグロース株が暴落しているのです。
そして、この傾向はまだまだ今後も続くと考えられています。理由としては二点あります。
一点目はまだインフレがおさまってないことです。インフレがおさまっていないので金利を更に高い水準で維持する必要があります。
更に、そのあと景気が悪くなれば今度は業績が悪化します。結果として現在の下落は長引きます。
今回と似たようなケースがあります。それが2000年から2002年のITバブルの崩壊です。
当時のナスダックとARKKは以下の通り瓜二つのチャートとなっています。
この経過をたどるとすると2024年中は株価は底打ちしないことが見込まれます。
今後も非常に厳しい展開が継続することが見込まれます。
もっと安定して高いリターンを出せる投資先を検討した方がよいでしょう。
まとめ
今回のポイントをまとめると以下となります。
ポイント
- グローバルプロスペクティブファンドは破壊的イノベーションを実施する企業に投資
- アーク社が助言をおこなっている
- S&P500指数やナスダックに劣後する成績
- ARKKやゼロコンタクト と同様のリターンとなっている
- インフレの継続と不況による業績悪化で今後数年は厳しい可能性が高い
このようなテーマ型の投信はブームが終わると売り込まれる傾向にあります。
どのような市場環境でも安定したリターンを得ることが重要となります。安定したリターンが狙えるファンドについては以下で詳しくお伝えしています。