2023年にChatGPTが登場してから生成AIブームが発生し、それに伴いAIに必要な膨大な計算を処理する半導体銘柄に資金が集中していきました。
代表的な銘柄がエヌビディア(Ticker:NVDA)ですね。2024年6月には一時的に時価総額でアップルとマイクロソフトをかわして首位になりました。
このような状況下で半導体を投資対象にした投資信託も人気となりました。
今回取り上げる野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)はアクティブ投信の中で買い付けランキング上位となっています。
それでは今回は野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)について以下の点について詳しくお伝えしていきたいと思います。
- どのような投資信託なのか?
- 運用実績はどうなのか?
- 今後の見通しも明るいのか?
Contents
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の特徴
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)は名前に業種別シリーズとなっています。
実際には以下のシリーズが存在します。
野村世界業種別投資シリーズ
- 世界金融株投資
- 世界半導体株投資
- 世界資源株投資
- 世界ヘルスケア株投資
- マネープール・ファンド
世界半導体株投資は世界各国の半導体関連企業の株式を技術力、利益構造、財務内容といった観点からファンダメンタルズ分析を行い組み入れ銘柄を決定していきます。
ベンチマークはMSCI All Country World Semiconductors & Semiconductor Equipment(税引後配当込み・円換算ベース)です。
以下は同指数のドル建のチャートです。(円建ては委託会社が独自に円換算するそうです。)
年間リターン | |
2016年 | 29.91% |
2017年 | 41.31% |
2018年 | ▲12.41% |
2019年 | 55.45% |
2020年 | 51.87% |
2021年 | 44.90% |
2022年 | ▲36.67% |
2023年 | 78.35% |
2023年は生成AIの流行によりバブル的な値動きとなっていますね。この流れは2024年前半も継続しています。
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の構成上位銘柄
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の特徴の構成上位銘柄は以下となります。
銘柄 | 国・地域 | 業種 | 純資産比 |
NVIDIA CORP | アメリカ | 半導体 | 29.2% |
BROADCOM INC | アメリカ | 半導体 | 12.2% |
TSMC | 台湾 | 半導体 | 10.2% |
QUALCOMM INC | アメリカ | 半導体 | 5.6% |
APPLIED MATERIAL | アメリカ | 半導体素材・装置 | 5.5% |
MICRON TECHNOLOGY | アメリカ | 半導体 | 4.8% |
KLA CORP | アメリカ | 半導体素材・装置 | 4.4% |
SK HYNIX | 韓国 | 半導体 | 3.8% |
MARVEL TECHNOLOGY | アメリカ | ハンド打ち | 3.8% |
ASM INTERNATIONAL | オランダ | 半導体素材・装置 | 3.8% |
NVIDIA、BROADCOM、TSMC、QUALCOMMという王道の半導体企業が上位にひしめいていますね。
特徴t型なのはNVIDIAだけで30%もの構成比率を占めていることです。上位4銘柄で実に60%近くとなっています。
ここまで少数の銘柄に比率が偏っている投資信託はなかなかありません。
コラム:NVIDIAがなぜAI関連企業の代表的な企業として株価が急騰しているのか?
生成AIブームが到来して以降、最も注目を浴びたのがNVIDIAです。
NVIDIA株は1年半で10倍になり、一時ではりますがアップルとマイクロソフトの双璧を抜いて時価総額で世界第1位になりました。
ただ、そもそもなぜNVIDIAに資金が集中したのか理解できていない方が多いかと思います。
NVIDIAはグラフィック処理ユニット(GPU)の開発を行なっている企業です。
GPUは主にコンピュータのグラフィック処理を担当し、ゲーム、映画制作、3Dモデリングなどの分野で広く使用されている半導体です。
AIのコードを書くためのツールとしてPyTorchが広く活用されているのですが、PyTorchで書いたコードを高速に動かすツールとしてCUDAがあります。
そして、このCUDAを動かせるGPUはNVIDIAしか作ることができないのです。そのためAI向けのGPU販売をNVIDIAが独占している状態になっているのです。
もはやAI開発のプラットフォームとしての役割を担っており、生成AIが登場して以降、NVIDIAに資金が集中していきました。
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の運用実績
では肝心な運用実績を見ていきましょう。2009年に運用を開始して以来、分配金再投資後では27倍になっています。
ただ、ベンチマーク(MSCI All Country World Semiconductors & Semiconductor Equipment(税引後配当込み・円換算ベース))に比べると大きく劣後していますね。
ファンド | ベンチマーク | |
1年 | 103.1% | 105.8% |
3年 | 216.7% | 212.0% |
設定来 | 2,646.7% | 3,250.8% |
ただ、半導体銘柄の株価の値動きは非常に激しく短期的には大きく下落する可能性も十分あります。
直近ですと2022年に円建で30%程度下落していますからね。円安で緩和した上で30%の下落なので、仮に円安になっていなかったら半分以下になっていました。
正直いって中長期で投資するのは非常に難しい投信だと思います。相場に関係なく安定して20%程度のリターンを積み上げていきたいという方は以下もご覧いただければと思います。
筆者は精神的余裕をもって長期複利運用を行い資産を増やしていく方が王道だと考えています、
掲示板での口コミや評判
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の見通しをお伝えする前に、掲示板での口コミや評判についてみていきたいと思います。
現在、2024年7月ですが、直近の暴騰が落ち着き調整局面に入っており、狼狽している人が多く見受けられます。
ここ数か月の含み益が今日でほぼ吹っ飛びました。
気絶してれば……戻るかな。
含み益がかなり吹っ飛んでいてびっくり。
同じような動きをする株ばかり入っているから仕方ないけど、改めて現実に起こると驚きます
祈りや願望に似たツイートも頻繁に目に入ります。正直言って、このような値動きの激しい銘柄で掲示板に書き込んでいるような精神状態では長期投資が実践できるとは思えません。
この先は元に戻るから安心してくれ
更に良くなるよ。
色々ありますが、aiの流れは変わらないと思うので、持ち続けるのみ。買い場と思える勇気はありませんが、信じて持ち続けます。商品を信じます!
野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)の今後の見通し!生成AIはバブルなのか?
重要なのは今後の見通しです。直近の上昇は生成AIバブルによってもたらされているので、AI市場が現状バブル的な水準なのかという点が重要になってきます。
AIへの投資がバブルではない場合、AI関連製品の収益がAIへの投資を上回り利益が出ている状況になっているはずです
NVIDIAのデータセンター向けGPUの売り上げは2024年度は100兆円となる見通しとなっています。
では、そのNVIDIAのGPUを使ってAI企業が、この金額を上回る収益を生み出せるかが重要なポイントになってきます。
現在、最大の収益を得ているChatGPTを生み出しているOpenAIですら2024年の売上見通しは6000億円という規模で1兆円にも満たない状況です。
このほかにGoogle、Amazon、MetaやTeslaなどの大型企業がAI関連で売上をだしたとしても2兆円未満であると見込まれています。
つまりAI関連企業が叩き出す売上を大きくNVIDIAのGPUの売上額が上回っているという状況になっているのです。
このような状況はバブルと言わざるを得ない状況ですね。持続不可能な状況といえるでしょう。
AIは現代の技術革新であることは間違いないですが、AI関連企業の株価は上記を逸した水準である可能性が高いということですね。
正直いって特定のテーマ型投信が盛り上がるような時は基本的に天井が近いと言わざるを得ません。
それは今まで分析した以下の銘柄でも同様でした。個人投資家に人気が出た時が天井なのです。
関連
投資においても「急がば回れ」という格言が重要になってきます。
流行りのテーマに飛び乗ってしまうと、その後の暴落を被弾して立ち直れない傷を負う可能性があります。
長期的に安定的なリターンが狙えるファンドに投資を行い、着実に資産を積み上げていくことが重要になってくるのです。