世の中にはとても沢山のファンドがありますが、「ヘッジファンド証券」について今回は調べてみました。
ヘッジファンド証券はその名の通り、ヘッジファンドを販売する仲介の会社です。
つまり自身で運用を行なっているわけではありません。
では、ヘッジファンド証券はどのような商品を取り扱っているのでしょうか?
筆者はヘッジファンドであるBMキャピタルに投資している関係から様々なファンドを調査して比較しています。
今回は果たしてヘッジファンド証券から良いヘッジファンドに投資できるのかという観点からお伝えしていきたいと思います。
Contents
ヘッジファンド証券とはどんな会社?
商号 | ヘッジファンド証券株式会社 |
所在地 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-1 霞が関コモンゲート西館32階 |
代表取締役 | 植頭 隆道 |
設立 | 2010年6月9日 |
資本金 | 1億6000万円 |
資格 | 第一種・第二種金融商品取引業 |
要するに証券会社ですね。株取り引きの引き受けもできますし、ファンドの募集の取り扱いも行います。
第一種金融商品取引業
証券業、金融先物取引業等のこと。流動性の高い有価証券の売買・勧誘、引受け、店頭デリバティブ取引、資産管理などを行う業務のこと。
【法令】金商法28条1項
第二種金融商品取引業
信託受益権の売買、売買の媒介、募集の取扱い(媒介)など、又は、ファンドの自己募集、募集の取扱い(媒介)などを業として行うこと。
代表は現インヴァスト証券出身の植頭隆道氏
代表のプロフィールは以下となります。インヴァスト証券の前身であるKOBE証券に入社し、7年ほど勤務後に独立されています。
富裕層向けのファンドを販売する営業に強みがある模様です。
1979 年(昭和54年)6 月、福島県伊達市生まれ。2002年(平成14年)3 月に立教大学社会学部卒業後、KOBE証券(現インヴァスト証券)入社。主に中堅企業のオーナーなど富裕層をターゲットとした営業を展開。2009年(平成21年)に独立後、投資事業組合を通じたヘッジファンド投資への募集を開始。2010 年(平成22年)にUGS アセットマネジメント株式会社の代表取締役に就任し、富裕層に対するヘッジファンドの営業基盤を確立する。2013 年(平成25年)8 月から現職。
ヘッジファンド証券ではどのようなファンドが購入できるのか(エピック・ヘッジファンド・セレクション1)
エピック・ヘッジファンド・セレクション1は2019年3月に償還済みで、現在販売しておりません。現在は1口1000万円から購入可能な日本株ヘッジファンド運用商品を販売しております。お問い合わせはフリーダイヤル、またはお問い合わせフォームからお願いいたします。
そもそも取り扱っていたエピック・ヘッジファンド・セレクション1はすでに販売していませんでした。
日本株ヘッジファンドはどのようなものを運用しているのでしょうか。
ブログも2019年で止まっており、コラムも2014年で止まっているのでこれは・・・営業をしていないのでしょうか?
どんな商品を売っていたのかが気になりますので、エピック・ヘッジファンド・セレクション1だけ少し調べてみました。
既に償還されているエピック・ヘッジファンド・セレクション1
運用はエピック・パートナーズ・インベストメンツ株式会社、ファンズオブファンズで運用ですね(ファンドがファンドを購入しリターンを獲得)。
ケイマン諸島籍の私募ファンドです。
最低出資額は2000万円ですが、ファンズオブファンズの形で100万円からとなっています。
以下は機関投資家しか投資できないようなものだったのではないですかね。個人も投資できるようにファンズオブファンズを組成したのだと思います。
日本株に投資をしていたようです。
2018年 | |
1月 | 0.35% |
2月 | -1.02% |
3月 | -0.98% |
4月 | |
5月 | |
6月 | |
7月 | |
8月 | |
9月 | |
10月 | |
11月 | |
12月 | |
年初来 | -1.64% |
2017年 | |
1月 | 1.12% |
2月 | -0.65% |
3月 | -0.70% |
4月 | -0.74% |
5月 | 0.89% |
6月 | 0.15% |
7月 | 0.02% |
8月 | -0.24% |
9月 | 0.32% |
10月 | -0.08% |
11月 | -0.41% |
12月 | -0.31% |
年初来 | -0.65% |
2016年 | |
1月 | -0.65% |
2月 | -0.67% |
3月 | 2.02% |
4月 | -0.04% |
5月 | -0.75% |
6月 | -0.70% |
7月 | -1.11% |
8月 | -0.13% |
9月 | 0.67% |
10月 | -0.58% |
11月 | -0.66% |
12月 | -0.29% |
年初来 | -2.90% |
運用実績は3年分が公開されていますが、3年連続マイナスです。運用成績が悪く、顧客が離れたので販売も停止になったのではないでしょうか?
損を出さずにプラスを出し続けると、複利で利益はとてつもないことになりますが、逆も然り、損失を出し続けると損失も加速します。
ファンズオブファンズまでして購入すべき私募ファンドだったのでしょうか、ブラウィスとレゾルーションは。
ウィズダムは2016年で投資先から除名されています。ググってもあまり情報が出てきませんでした。私募ファンドですもんね。
TOPIXを下回り続けています。
現在仲介しているのはエピック・バリアント・ファンド
現在、ヘッジファンド証券が仲介しているのは「エピック・バリアント・ファンド」です。
エピック・バリアント・ファンドは日本国内の株式を対象としたマーケット・ニュートラル戦略で運用していきます。
日興証券を経て独立された武英松氏によって運用されています。
インデックスの動きに対して中立的であるような投資ポジションを持つ投資戦略のこと。
代表的なマーケットニュートラル戦略である「株式ロングショート」の場合、複数銘柄のロングとショートを組み合わせ、株式相場の変動による影響を極力受けないよう、市場平均指数に対する連動性を示すベータ値をゼロにし、個別株の固有要因であるアルファにより収益を上げる。
公募投資信託では、絶対収益追求型と呼ばれるタイプがこの手法によって運用されることが多い。
参照:野村證券
難しく記載されていますが、マーケットニュートラル戦略は株式の買い持ちと空売りを同量行う投資戦略です。
割安な銘柄を購入して割高な銘柄を空売りすることで利益を狙います。
市場自体の上下に影響を受けずに銘柄選択によるリターンだけを狙いにいく手法でヘッジファンドの代表的な戦略の一つとなっています。
エピック・バリアント・ファンドの運用実績は以下です。
年利 | |
2011年 | +9.0% |
2012年 | ▲14.07% |
2013年 | +53.66% |
2014年 | +20.28% |
2015年 | +7.35% |
2016年 | +5.55% |
2017年 | +6.45% |
2018年 | ▲14.76% |
2019年 | +23.35% |
2020年 | +8.58% |
10年で資産は2.3倍になっています。ただこの間日経平均は2.7倍になっているのでアンダーパフォームしています。
更に大きめの下落も経験しており安定していません。決して優秀なファンドであるとはいえないでしょう。
BMキャピタルの投資とエピック・バリアンド・ファンドを比較
ヘッジファンド証券が取り扱っていた又は現在取り扱っているエピック・バリアンド・ファンドをまとめると以下の通りでした。
【エピック・ヘッジファンド・セレクション1】
- ファンズオブファンズで運用
- 投資先はブラウィスとレゾルーション(ウィズダムは2016年で投資中止)
- 運用実績は3年分、3年連続マイナス
- TOPIXを下回るなど指数に対してアンダーパフォーム
【エピック・バリアント・ファンド】
- マーケットニュートラル戦略で運用
- 日興證券から独立した武氏によって運用されている
- 運用成績は日経平均に劣後して大きなドローダウンを経験
現在は上記ファンドは購入できないのですが、BMキャピタルとあえて比較するのであれば、以下の通りと思います。
ファンド名 | エピック・ヘッジファンド・セレクション1 | エピック・バリアント・ファンド | BMキャピタル |
運用形態 | ファンズオブファンズで運用 | エピックパートナーズ社が運用 | 直接販売 |
運用手法・投資先 | 投資先はブラウィスとレゾルーション (ウィズダムは2016年で投資中止) |
日本株式のマーケットニュートラル戦略 | 安定的にプラス、年利回りがマイナスになったことがない |
運用実績 | 運用実績は3年分、3年連続マイナス | 日経平均に劣後 大きなドローダウンもあり |
下落なく平均年利回り10% |
vs TOPIX | TOPIXを下回るなど指数に対してアンダーパフォーム | TOPIXをアンダーパフォーム | TOPIXをアウトパフォーム |
BMキャピタルのバリュー株投資は、リーマンショック、チャイナショック、コロナショックなど株式相場の大暴落を回避したという実績があります。
BMキャピタルは市況に合わせてイベントドリブン戦略も組み合わせていることが毎四半期ごとのレポートでは確認できており、非常に具体的且つシンプルです。
バリュー株投資とはウォーレン・バフェットの師匠であるバリュー投資の祖、ベンジャミングレアム氏が考案したネットネット株ですね。
イベントドリブン戦略とは、企業イベントの前後に発生する一時的な株価のミスプライスを利用しようとする投資戦略の一種です。
企業イベントの分析に必要な専門知識を必要とするため、プライベート・エクイティやヘッジファンドで最もよく利用されています。
ヘッジファンド・リサーチのデータによると、合併や買収、その他の企業取引に賭けるイベントドリブン戦略のファンドは、1-3月(第1四半期)に平均で7.6%のプラスリターンを上げ、1993年以来の好調な滑り出しとなった。成績は他のヘッジファンド戦略を上回った。
新型コロナウイルスのワクチン普及と経済成長加速への楽観でM&Aは活発になっている。ブルームバーグがまとめたデータによると、今年に入って1兆6000億ドル(約174兆円)相当の取引が合意されており、前年同期を87%上回り、同期間として過去最高となった。
企業イベントの例としては、リストラ、合併・買収、倒産、スピンオフ、買収など。
イベント・ドリブン戦略は、変化する時期に企業の株価が下落する傾向を利用するものです。
2021年以降、米国のヘッジファンドもイベントドリブン型が他ヘッジファンドの運用をアウトパフォームしています。
このようなトレンドの流れは数年継続するのが通常です。
まとめ
ヘッジファンド証券がヘッジファンドを販売していても魅力的なものは見当たりませんでした。
エピック・ヘッジファンド・セレクション1のようなヘッジファンドを取り扱うのであればBMキャピタルの方が良いでしょう。