メタバースはインターネット上の仮想空間です。
ユーザーは3次元の仮想空間の中でアバターを介して他者と交流して商品やサービスの売買などの様々な体験を行うことができます。
2021年にFacebookがMeta Platformsに社名変更したことで一気に注目があつまりました。
まだ、本格的に盛り上がるという前段階ではありますが、メタバース市場は2028年には100兆円市場になると期待されています。
ARやVR技術の飛躍的な発展を見せていることもあり、今後非常に期待される分野となっています。投資をする上でも間違いなく外せない分野となってくるでしょう。
では実際、現在メタバース関連の研究はどのようなものがあるのでしょうか?
実際に大学で行われている研究の成果について紹介していきたいと思います。
Contents
中央大学理工学部情報工学科システム解析・可視化研究室(牧野光則教授) :マグロ解体学習支援VRシステムを開発
牧野教授はコンピューターグラフィックスやクロスリアリティを用いたシステム構築、可視化技術と応用システムを専門とされています。
同研究室ではVR、AR、MR等の現実感付与技術を活用した研究を積極的にすすめています。
その中で愛媛県立宇和島水産高等学校と協働でマグロ解体学習支援VRシステムを開発しています。
このシステムにより実物と同じサイトと構造を持つマグロの解体という貴重な体験をいつでも再現することができるようになりました。
解体学習教材として使用することで解体部位に適した包丁の閃t買う、包丁の正しい進入位置・角度、左手の安全な位置などのマグロの解体手順を誰でも習熟できるようになりました。
このように従来体験する機会が少ない貴重な機会をVRを活用することで提供する機会は今後ますます増えていくことになるかと思います。より詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
マグロ解体学習支援VRに関するページ(https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/science/departments/infotech/news/2020/02/48139/)
システム解析・可視化研究室(https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/makinolab/)
筑波大学 応用触覚研究室:表情が触覚に与える影響に関する研究を実施
筑波大学応用触覚研究室では表情が触覚に与える影響に関する研究を実施しています。力・振動・動きを与えることでユーザーが「実際にモノに触れているような感触」を得る事ができる皮膚感覚フィードバック技術であるハプティクスにおける重要な問題に取り組んでいます。
人と人との触れ合いを通じて肯定的な社会的インタラクションを促進する方法を研究しており特に表情が触覚知覚に与える影響に焦点を当てています。
研究では、マウスを操作して画面上のアイコンをクリックする際に、エージェントが逆方向にカーソルを引っ張るように振る舞うシステムを設計しました。このシステムを使用して、参加者が感じる知覚される力を心理物理学的手法で測定しました。
実験の結果、エージェントの表情がネガティブであると、知覚される力が中立的な表情の場合よりも大幅に増加することが示されました。さらに、参加者の表情に対する評価と知覚される力との間に相関があることが分かりました。つまり、エージェントの表情が不快または覚醒したと評価されるほど、より強い力が知覚される傾向があるということです。
この研究の結果は、物理空間やサイバースペースにおいて、表情が触覚に与える影響を理解する上で示唆に富むものとなっています。
デモページ(https://ah.iit.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/FacialExpressions/index.html)
筑波大学 応用触覚研究室(https://ah.iit.tsukuba.ac.jp/research/facialexpressions/)
早稲田大学 澤田秀之研究室:力覚による接触感覚提示を伴う4次元空間インタラクションシステムの構築
この研究では、VR技術の進展と高次元データへの需要が高まる中で、直感的な視覚化とインタラクション方法が提案されています。
澤田研究室では新しい4次元空間インタラクションシステムを提案しています。このシステムは、非専門家でも4次元空間を理解しやすくすることを目指しています。
提案されたシステムは、3次元空間の探索と同様に機能し、4次元空間を探索する際には、3次元スクリーンを通じて4次元空間の断面を表示し、モーションコントローラーを使った直感的な操作を可能にします。
このシステムを使うことで、ユーザーは4次元空間と3次元断面を行き来しながら、関係性を観察し、4次元空間の理解を深めることができます。また、迷路探索の実験から有望な結果が得られただけでなく、高次元空間知覚の分野における興味深い洞察も得られました。
詳しくは以下をご覧ください。
法政大学 人間親和型・計測制御 研究室:AR/MR技術をベースとした遠隔作業支援技術
中村研究室が開発した遠隔支援システムについて紹介します。
このシステムは、テレイグジスタンス技術を利用して遠隔地にいる人が他の人を支援することを可能にします。
具体的には、遠隔地の作業者が専用の装置を使ってリアルタイムで映像や音声を送信し、遠隔の専門家がそれを受け取り、遠隔操作で作業を助けることができます。これにより、地理的な距離を超えて、高度な技術や知識を持つ人が必要な場所で即座にサポートできるメリットがあります。
医療における超音波検査の遠隔化やテレワークにおける署名の遠隔化などに活用できる技術となっています。
法政大学 中村研究室(https://s-nakamura-lab.ws.hosei.ac.jp)
AR/MR技術をベースとした遠隔作業支援技術(https://s-nakamura-lab.ws.hosei.ac.jp/pj-telexistence-remote-assist-system.html)
東京都立大学 Haptics研究チーム:やわらかさ知覚の新展開
東京都立大学のHaptics研究チームは名前のとおり振れることを中心とした運動と感覚に関する学問であるハプティクスに関して研究しています。
特にもテクスチャ(物の表面特徴)に人が触れて、その特性を理解する原理であるテクスチャ知覚原理の研究を精力的におこなっています。
具体的な研究として「やわらかさ知覚の新展開」という研究があげられます。
この研究では、物体の表面を指でなぞると、その形状が物体の柔らかさの感じ方に影響することがわかりました。
特に、曲面柔らかさ錯覚という新しい現象を見出しました。曲面の表面を指でなぞると、同じ材料でできた平らな表面よりも柔らかく感じます。
一方、凹凸のある表面は硬く感じます。この錯覚から、物体の柔らかさは形状だけでなく、機械的な硬さにも影響されることがわかります。
東京都立大学Haptics研究チーム(https://hci.fpark.tmu.ac.jp/index.html)
研究一覧(https://hci.fpark.tmu.ac.jp/haptics.html)
電気通信大学 宮脇研究室:独立制御可能な人工指「第6の指」の研究開発を実施
電気通信大学宮脇研究室の宮脇陽一教授らはフランス国立科学研究センターのGowrishankar Ganesh主任研究員と共同で、他の身体の部分と独立して動かすことができる人工身体部位である”six finger”の開発に成功しました。
私たちの脳は、身体の変化に柔軟に対応できますが、本来生まれた時から保有していない人工的な身体部位を自らの身体として感じ、自由に動かすことは可能なのかという問いに対する研究です。
近年、ロボットアームや指型の機械を身体に装着し、他の身体部位の動きで制御する研究が進んでいます。しかし、これまでの研究は生得的な身体部位の機能を人工的なものに置き換えることに過ぎませんでした。
同研究は新しいアプローチで、“sixth finger”と呼ばれる手のひらに装着可能な装置を開発しています。この装置を使い、短時間(1時間程度)で慣れることで、その装置が自分の身体の一部として感じられる現象を世界で初めて実証しました。
これにより、人間は既存の身体部位の機能を干渉することなく、新しい追加的な身体部位を取り入れ、身体を拡張できる可能性が実験的に示されました。
電気通信大学 宮脇研究室(http://www.cns.mi.uec.ac.jp)
独立制御可能な人工指「第6の指」の研究開発を実施(https://www.uec.ac.jp/about/publicity/news_release/2022/pdf/20220215_4183.pdf)
随時更新予定
メタバース関連の研究については随時更新していきます。