インベスコ世界厳選株式オープン(愛称:世界のベスト)を今回は取り上げたいと思います。
運用を行うのはインベスコ・アセット・マネジメント株式会社、販売管理などを行うのが三菱UFJ信託銀行となっています。
全世界的な株高の影響もあって非常に人気の投資信託となっています。
今回はそもそも世界のベストがどのような投信なのかをお伝えした上で、投資する魅力があるファンドなのかどうかという点について詳しくお伝えしていきたいと思います。
また、皆さんが気になっているには2024年7月からの下落と今後の見通しかと思います。この点についてもわかりやすくお伝えしていきたいと思います。(早く知りたい方はクリックしてジャンプ)
当サイトでは様々な投信やファンドも分析していますので興味のある方はご覧いただければと思います。
Contents
インベスコ世界厳選株式オープン(愛称:世界のベスト)の特徴
それではまずは概要から見ていきましょう。
投資対象は新興国を除く割安株(為替ヘッジあり・なし選択可)
以下の通り、投資対象はエマージング国を除く株式となっています。
日本を含む世界 各国(エマージング国を除く)の株式の中から、独自のバリュー・アプ ローチによりグローバル比較で見た割安銘柄を厳選し投資します。
独自のバリュー・アプローチで、世界株式を購入するわけですが、つまりはバリュー投資を行うということですね。
ポートフォリオマネジャーの腕が問われます。あまりにも幅広い市場をカバーしているので、PERなど簡易的な分析で投資をしていないことを祈ります。
ベンチマークはMSCIワールド・インデックスです。MSCIワールド・インデックスを超えるリターンを目指すことになります。
商品名で言えば、「eMAXIS全世界株式インデックス」がMSCIワールド・インデックスに連動する投信となっています。
「成長」と「配当」と「割安さ」を追い求める運用
インベスコ世界厳選株式オープンは「成長」と「配当」と「割安さ」という観点から銘柄を選ぶとしています。
ただ、正直いって成長つまりグロース企業と割安さを求めるのは言うは易し行うは難しです。
本場米国流にいうとグロース株投資は高く買って、さらに高く売るというのが常識です。
インベスコ世界厳選株式の運用方式は机上の空論であると感じてしまいます。
運用プロセス
割安株を狙っていくということなので、基本的にはファンダメンタルズ分析にて投資対象を決めていくことになると思います。
- 投資アイデアの発掘(企業とのミーティング、グループ内での情報交換、外部アナリストとの情報交換)
- ファンダメンタルズ分析(財務力、経営力、ビジネス評価、バリュエーション)
- ポートフォリオ構築(ボトムアップアプローチ、組み入れ銘柄の評価)
とはいえ、運用プロセスは一般のファンドと変わりません。
構成上位銘柄
2024年6月末時点での構成上位銘柄は以下となります。
割安株を購入するとあって、流行りの投資をしていません。有名な企業でいうとマイクロソフトくらいでしょうか。
ソフト、アメリカンタワー、ユナイテッドヘルスは王道の投資先ではありますが、それ以外はバリューファンドらしい選択ですね。
前回、分析した2022年10月末時点からの推移は以下となります。さほど変遷がないので長期投資をしているのが読み取れますね。
2024年6月末 | 2024年2月 | 2024年1月 | 2023年11月 | 2023年6月 | 2023年2月 | 2022年10月 | |
1 | 3iグループ | 3iグループ | 3iグループ | 3iグループ | 3iグループ | 3iグループ | 3iグループ |
2 | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | マイクロソフト | ブロードコム | ベラリア | ベラリア |
3 | ユナイテッドヘルスグループ | ユニオンパシフィック | ユナイテッドヘルスグループ | ユナイテッドヘルスグループ | マイクロソフト | AIAグループ | マイクロソフト |
4 | テキサスインスツルメンツ | ユナイテッドヘルスグループ | ユニオンパシフィック | ユニオンパシフィック | ベラリア | マイクロソフト | アメリカン・タワー |
5 | ロールスロイス | ブロードコム | ブロードコム | アメリカンタワー | アメリカンタワー | ブロードコム | コカ・コーラ |
6 | ユニオンパシフィック | テキサスインスツルメンツ | テキサスインスツルメンツ | アゼリスグループ | 友邦保険控股 | アメリカンタワー | 友邦保険控股 |
7 | インターコンチネンタル | アメリカンタワー | アメリカンタワー | ブロードコム | ユナイテッドヘルスグループ | スタンダードチャータード | ハーク・ホールディングス |
8 | コカコーラ | アゼリスグループ | アゼリスグループ | テキサスインスツルメンツ | ユニオンパシフィック | ユニオンパシフィック | ブロードコム |
9 | アゼリスグループ | プログレッシブ | プログレッシブ | ベラリア | ロイヤル・ユニブリュー | コカコーラ | コネ |
10 | ロンドン証券取引所 | トラクターサプライ | AIAグループ | プログレッシブ | アケルBP | KKR | チューリッヒ・インシュランス |
手数料 (購入手数料/信託手数料)三井住友銀行やSMBC日興で購入可能
手数料は以下となります。
購入手数料:税込3.3%
信託手数料:年率税込1.903%
初年度は5%程度手数料を払い、それ以上のリターンを目指していくことになります。投資金額によって手数料は変わります。10億以上ですと安いですね。
1億円以上5億円未満:1.65%(税込)
5億円以上10億円未満:0.825%(税込)
10億円以上:0.55%(税込)
運用実績を基準価額チャートより解剖!為替ヘッジ「有り」と「無し」でどれくらい差がある?
では肝心の実績についてみていきましょう。インベスコ世界厳選株式オープン(為替ヘッジなし)の基準価額推移は以下となっています。

世界のベスト(為替ヘッジなし)の基準価額の推移
コロナショック で一時的に凹んでいますが、その後は右肩上がりで綺麗に上昇しています。
しかし、この中にはドル円が100円から160円に上昇した影響が含まれています。
この円安分については世界のベストの銘柄選択によるリターンではありません。
そして、2024年7月に米国の景気後退懸念と日銀の利上げによって一気に140円台前半まで円高調整となりました。
上記のチャートは月次レポートなので、この影響は現れていませんがYahoo financeで最新のチャートを確認すると以下の通り15%程度大きく下落しています。この要因については見通しの項目(クリックしてジャンプ)で記載していきます。
世界のベストの実際の運用の実力を見たいので「為替ヘッジあり」で見ていきます。
「為替ヘッジなし」では運用開始から2倍近くになっていますが、「為替ヘッジあり」では運用開始から1.4倍にもなっていません。
以下がトータルリターンです。ベンチマークはMSCIワールドインデックス(円ヘッジ指数)です。
設定来ではベンチマークをアンダーパフォームしていますね。
1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 1年 | 3年 | 設定来 | |
インベスコ世界厳選株式 | -0.40% | 14.53% | 3.74% | 12.08% | 31.06% | 29.96% |
ベンチマーク | 2.46% | 15.12% | 3.885% | 12.6% | 27.56% | 37.0% |
ここ3年のリターンを見ると優秀に見えるのですが、バブル相場の恩恵を得ているに過ぎません。
ただ、チャートをご覧いただければ分かる通り、殆ど世界の株価指数と同じ動きとなっています。
つまり、暴落を被れば10年以上もリターンがでない可能性もあるということです。
今後の世の中の変化についていけるファンドとは思えず、インデックスの下位互換といえるファンドと考えられます。
世界のベストは毎月決算型の分配金の高さが人気の理由
世界のベストはインデックス型の投信を除くと、買い付けランキングは世界第4位となっています。
そして4位にランクインしているのは「為替ヘッジなし」の「毎月決算型」です。

買い付けランキング上位の投信
為替ヘッジなし」の「毎月決算型」は円安とバブル相場の恩恵を受けて2020年以降は1800円の分配金をだしています。
年合計 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
2023年 | 1,800円 | 150 (01/23) |
150 (02/24) |
150 (03/23) |
150 (04/24) |
150 (05/23) |
150 (06/23) |
150 (07/24) |
150 (08/23) |
150 (09/25) |
150 (10/23) |
150 (11/24) |
150 (12/25) |
2022年 | 1,800円 | 150 (01/24) |
150 (02/24) |
150 (03/23) |
150 (04/25) |
150 (05/23) |
150 (06/23) |
150 (07/25) |
150 (08/23) |
150 (09/26) |
150 (10/24) |
150 (11/24) |
150 (12/23) |
2021年 | 1,800円 | 150 (01/25) |
150 (02/24) |
150 (03/23) |
150 (04/23) |
150 (05/24) |
150 (06/23) |
150 (07/26) |
150 (08/23) |
150 (09/24) |
150 (10/25) |
150 (11/24) |
150 (12/23) |
2020年 | 1,800円 | 150 (01/23) |
150 (02/25) |
150 (03/23) |
150 (04/23) |
150 (05/25) |
150 (06/23) |
150 (07/27) |
150 (08/24) |
150 (09/23) |
150 (10/23) |
150 (11/24) |
150 (12/23) |
多くの毎月決算型の投信は高い利回りを出す一方で、基準価額を下げて元本を毀損させています。
一方で、世界のベストは以下の通り基準価額を1万円近辺で維持しながら18%程度の分配利回りをだしているのです。
そのため、特にお年寄りなどからしたら毎月元本があまり減ることなくお小遣いを頂けているという感覚になっているのでしょう。
しかし、これはあくまで円安とバブル相場が重なったボーナス期だったからです。
一度、この流れが逆流したら分配金を出すことはできませんし元本も減少していきます。
たまたま、相場が調子よかっただけなので、この状況が続くことは期待しないが方たよいでしょう。
今後の見通しについては後述します。
インベスコ世界厳選株式オープンの掲示板やSNSでの口コミ
タコ足配当の話が出てきたので、より一層、厳しい目で見てしまうようになりました。
インベスコ 世界厳選株式オープンから購入後初の分配金が入ってました。
特別分配金なのでタコ足のようです🐙
トータルリターンも今の下げ相場もあってガッツリマイナスです😅さぁ、これからどうなるのか🙃!? pic.twitter.com/DiYaEuu2nn
— テディ (@teddy25invest) September 27, 2022
インベスコ世界厳選株式オープン(毎月決算型)の分配金はいつまで継続できるのか??それが問題だ。。。
— かわ吉@予想分配金提示型ブログ (@fpkawakichi) October 3, 2022
こんなファンドが残高2兆円とは。。銀行窓販って本当楽だな。当然、給料高くないだろうけど。 / インベスコ 世界厳選株式オープン(毎月決算型)【愛称:世界のベスト】 〜インベスコ・アセット・マネジメント - K2 College (K2 College -) #NewsPicks https://t.co/m0GTotlWDj
— 河合圭 - K2 Investment (@hehegui) October 17, 2022
はーい✋めっちゃ被ってます
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)・・・積立NISA
・eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)・・・積立
・インベスコ 世界厳選株式オープン・・・積立
・VTI・・・個別保有
・VOOG(S&P500グロース)・・・個別保有— xaulfac (@xaulfac) October 9, 2022
2024年半ばの下落と世界のベストの今後の見通し
さて、今皆さんが気になっているのは直近の下落がなぜ発生しているのか?
今後の見通しはどうなっていくのかという点ではないでしょうか?
残念ながら直近の下落を招いた2つの原因は今後も継続として燻りつづけるので、しばらく厳しい環境が想定されます。
1つ目の原因:米国の景気後退懸念が高まっている
まず、一つ目の懸念としては米国の景気動向が挙げられます。
2022年からの高金利と高インフレが継続した結果、ついに米国経済に暗雲が垂れ込み始めています。
実際、失業率は急激に上昇を始めています。失業率は上昇を開始すると急激にスパイクする傾向があるので懸念が高まっています。
景気後退が発生すると企業収益が下落したり、場合によっては金融機関が潰れる可能性があるので株価にとっては厳しい状態に陥ります。まだ本格的な景気後退には入っていませんが、近い将来の景気後退を見越して株価は重くなってきています。
2つ目の原因:日本銀行の引き締めで円キャリートレードが解消しはじめている
実は近年の株高の牽引役として日本銀行の存在が挙げられます。
なぜ世界の株高に日銀が影響しているのか疑問に思った方が多いかと思います。
日本は長年ゼロ金利政策を実行してきました。パンデミック後のインフレで欧米が金利を引き上げている局面でも金利をマイナス金利にしていましたからね。
そして、この低い金利に魅力を感じて海外の投資家が円キャリートレードを積み上げていきました。円キャリートレードというのは日本円を起債や借入を通じて調達して、調達した日本円を米ドル等に変えて海外の資産に投資をするという手法です。
直接米ドルを調達すると6%程度の金利が発生しますが、日本円であれば1.5%程度ですむので調達コストが安く済むのです。
ただ、円キャリートレードを行っている為替リスクを負うことになります。円安が進んでいる時は円キャリートレードで為替差益もとれるので二重で旨みがあります。
しかし、この状況が日銀が引き締めに転じたことで逆流していきました。
米景気が後退する局面で日銀が利上げを開始したことで日米金利差が縮小しドル円が下落する動きが発生しました。
すると調達金利の差以上に為替差損が発生し円キャリートレードを実践するインセンティブが消滅します。
そうなると、円キャリートレードを解消するために保有する株を売却して、得られたドルを返済するために円に変える動きが発生するのです。つまり株安と円高を加速させることになります。
これが2024年8月の上旬に発生した世界株安の正体です。そして、今後もこの流れは以下の流れで継続していきます。
- 米経済の景気後退懸念による米金利低下
- 日銀の利上げにより日本側の金利の上昇
- 日米金利差縮小によるドル円の低下
- 円キャリートレードの解消
ここからしばらく通常の株式投資は厳しい環境になることが想定されます。
相場の下落を回避しながら安定して高いリターンを獲得する投資法
せっかくアクティブファンドに投資するのであれば筆者は暴落を回避しながら指数をアウトパフォームするファンドに投資したいと考えます。そして筆者がその上で選んだのがヘッジファンドです。
以下のグラフをご覧いただければわかる通り、ヘッジファンドは指数が暴落する局面も抑制して安定したリターンを積み上げています。

ヘッジファンドは暴落局面を回避しながら安定して高いリターンを叩き出している
筆者が投資をしているのはまさに上記のような暴落耐性を保持しながら年率10%の高いリターンを期待できるBMキャピタルというヘッジファンドです。
以下で詳しくお伝えしていますのでご覧いただければと思います。